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2015年7月10日金曜日

柔術の文化

デラヒーバ柔術の総本部「イクイッピウン」にて

こんにちは、早川です。

今日は前回のコラム「始皇帝」からの流れで、柔術の文化についてのお話を一つ。

アメリカでもブラジルでも、私が訪れたアカデミーでは、始礼、終礼がないところがほとんどでした。歴史あるアカデミーの方がそれは顕著でした。たまに終礼だけあるところもありました。

アリアンシの場合、先生が合図を送ると、その日の最高位ランクの生徒がウォームアップのリーダーとなり、突如として走り出します。するとそれまでマットスペース上でダベっていた生徒達も一斉に立ち上がり、リーダーの後を追って走り出します。これが始まりです。

そして終わりの挨拶はなく、自然解散でした。最初は私もそのルールが分からなかったので、先生からスパーリングの相手を指名され続ける限りは最後までマットスペース上に残っていましたが、気づくと私ともう一人くらいしかない、そんな状況を何度か経験して「あ、みんな勝手に帰っちゃうんだ」と分かりました。

スパーリングの量はそれほど多くなく、私は必ず最後まで残っていました。日本では2時間くらい連続でスパーリングするのが当たり前でしたが、アリアンシでは量より質を重視している感がありました。1回のスパータイムは白帯も黒帯も若者もおやじもだいたい8分が基本でした。その中で全力を出し切り合いました。

一方、当時新興勢力であったBTT(ブラジリアントップチーム)などは、黙想を取り入れていました。ゼ・マーリオ、ヒカルド・リボーリオ、ムリーロらが先頭に立って、100人くらいの生徒が整然と並び、黙想をしていました。挨拶もなぜか「押忍」だったり。当時BTT所属だった若かりし日のマリオ・ヘイスも青帯で練習に参加していました。

中には非常に濃い終礼を行っている道場もありました。カーウソン系のマリーニョ先生のアカデミーでは、練習の終わりに全員で円陣を組んで、5分くらい神への祈りを捧げていました。カソリック大国ブラジルならではです。しかしこれを毎回の練習後にやるのは大変だなと思いました。日本人ビジターは円陣の中に居て時が過ぎるのを待つしかありません。

ちなみに先生のテクニックの実演中は、生徒が壁際に整列して見るというアカデミーが多かったです。日本のアカデミーでは、生徒達が先生の周りを近距離でぐるりと取り囲んでお手本を見るのが一般的だと思います。壁際整列だと遠すぎて細いところが見えませんでした。目の悪い人は大変だろうなと思いました。

※これらの話は全て2000年前後の話です。

関係ありませんが最後に当時の写真を一枚。


パケタ邸にて左からビデオ王の故・パケタ六段(当時)、病院の多角経営で財をなしたnかた氏、日本語を話す謎の美少女アリーネ、腕を骨折して残りの修行期間を棒に振った丹君です。

パケタ先生についてもまたいつか語りたいと思います。