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2015年3月18日水曜日

インプットとクリエイト

2003年頃 アリアンシ柔術にて(旧イパネマ道場)

こんにちは、早川です。

「早川先生はどうやって新しい技を考えているんですか?」とたまに聞かれます。結論から言ってそのやり方には2つの方法があります。

1つ目の方法はとてもシンプルです。昨日のスパーリングで自分が行った未知の動作を、翌日以降にまとめて体系化しています。攻撃も防御もです。基本的には何年もそれを繰り返しています。

「現役の選手兼インストラクター」をされている場合は、恐らくこの手法を用いている方が多いのではないでしょうか。

スパーリングが出来ない年齢になってしまうか、または自分の実力がダウンすれば、このやり方は出来なくなります。私にもいずれその日は来るでしょう。ただ体力の続く限りは、この方法が一番確実で無駄がないです。

自分の体でクリエイトした技は、全てが生きた技となり、既存のトライフォースの技術体系にスムーズに組み込むことが出来ます。

私が毎日教えているテクニックは、既存の技術体系とリンクする技しかありません。ゆえに会員のみなさんが効果的に習得出来ると考えています。

流行の技は、私以外のインストラクターが日々チェックし、しっかりと教えてくれています。それで十分です。

芝本や澤田も、昨日私が妄想した技になど興味はないでしょう。昨日私に掛けられた技だからこそ、心の底から知りたいと思ってくれるのです。

2つ目の方法はスパーリングの観察です。私は生徒達のスパーリングを本当によく観ます。生徒の実力をチェックすると同時に、素晴らしい動き、ひらめきのある動きに関しては、私はそれらのパーツを組み合わせて、自分の技術にも取り入れます。

生徒のスパーを観ることは本当に勉強になります。たとえ白帯同士のスパーであっても何かしら得るものがあります。

それは何気ない足運びであったり、手の置き方であったりします。本人達は無意識にやっているのですが、トライフォースで柔術を学んだ彼らの動きは、再び私の創作の種となり糧となります。

さて話は変わりますが、柔術を学ぶ過程においては、インプットする時期が長期に渡ってあり、その経験則を元に、その後クリエイトするフェーズに入って行くと思います。

私の場合、インプットするフェーズにいる時に多くの学びの機会を与えてくれたのは、先生や先輩達の「生きた教え」でした。

青帯までは平先生から学んだ技術を、そこから紫帯までは中井先生、和道先輩から学んだ技術を、紫帯から黒帯まではパイヴァ先生に習った技術を、ひたすらインプットしていく時期でした。

その中でも、技術的な影響を最も大きく受けたのは、パイヴァ先生であり、アリアンシ柔術です。

平先生からは柔術の基本理論を学びました。中井先生からは手取り足取り何かを教えて頂いたことはありませんが、来る日も来る日も練習でボコボコにされ、身を持って学ばせて頂きました。

修行期においては私もビデオを観て研究しました。と言いましても、当時はほとんど教則ビデオなどない時代ですから、私が観ることが出来たビデオは限られています。

今ほど英語力もなかったので、海外のビデオはどれほど理解出来たかは分かりません。試合のビデオなどもたまに出回り、それらを仲間内で貸し借りして観ていました。

他に資料がないので、国会図書館へ足を運んでは、柔術や柔道の古い文献を探して読み込んだりもしました。今となってはワンクリックで手に入る情報ばかりですが。

私達の時代とは違い、今やYoutubeでいくらでも柔術の技術を仕入れることが出来ます。それがメリットであり、デメリットでもあると思います。自分のスタイルというものが確立していないうちは、氾濫する技の海の中に溺れてしまう危険もあると思います。

新しい技を追いかけるのは大変です。技の影を追い続けることになります。追いついたと思ったら実体はそこにはなく、また他の影を追いかけることになります。

大切なことは、追いかける作業ではなく、自分のコンセプトと照らし合わせる作業です。人が知らない技を探すのではなく、自分が使っている技を深化させましょう。その技がいずれ人が知らない技へと進化していくのです。

さて、いつも理屈ばかりを述べている私ですが、それらは全て若い頃に行った「理屈抜きの膨大な練習量」が作り上げているという大いなる矛盾もあります。あの果てしない日々がなければ今の境地には至っていないと思います。

まだ自分には軸がない、何をして良いのか分からない、そんな迷いがある方は、とにかく練習しましょう。削られ潰され汗まみれになりましょう。あとは私や芝本がしっかりと導いてまいります。