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2014年12月8日月曜日

B柔術教則本コラム 番外編(4) 復活の呪文


こんにちは、早川です。

「ブラジリアン教則本」を実際にご覧になられた皆様から、英語名称のカタカナ表記の羅列に面喰らったというご意見をたくさん頂戴いたしました。

確かに私も今でこそ慣れてしまいましたが、頭をまっさらにして改めて目次ページを見てみると、何かの暗号が書き記してあるかのように思います。復活のじゅもんのようです。

TF五反田代表のトオルさんからも、原案を見せた時に「分かりにくいと感じました」という指摘を受けました。私ももちろんそう思っていました。しかしこれに関しては、グローバルネーミングという私のコンセプトに基づいてこのまま先行して参ります。

私も業界は長いので、どういったものがスタンダードになっていくのかは熟知しているつもりです。道場の設備、大会のフォーマット、道衣のブーム、柔術の技法、帯叩き等の慣習、業界用語に至るまで。最近の分かりやすい例では「コンバッチ」ですかね。

コンバッチを最初に聞いた時の抵抗感は私ですら半端なかったです(笑)。しかし私がまさにそれを連盟の責任者として普及させていく立場でしたので、そのように努めました。定着までは意外と速かったです。

名称に関して「この方向で行こう」と思えたきっかけの一つに、実は芝本とのトレーニングセッションの存在がありました。ウェイトトレーニングの種目は、全て英語名称のカタカナ表記であり、それをトレーナー側も、アスリート側も、熟知していることが普通であることを知りました。細かいグリップの作り方にもちゃんとした名称があり、誰でも当たり前のように知っています。驚きました。

トレーニング業界は、海外で主流になりつつある新しいメソッドも、素早く導入される土壌があると感じます。抵抗なく受け入れたり、取り入れたりする文化があるなと感じました。トレーナーの知識のアップデートも盛んですし、その為の各種セミナーや交流等の機会がたくさんあります。

トレーニング自体が欧米発信の文化なので、英語名称がそのまま輸入されたのでしょう。よって海外の情報を素早くキャッチし、メソッドをアップデートさせる環境が、トレーニング業界にはすでに備わっていたということです。

ブラジリアン柔術に関しては、やはりオリジナルが日本であるという事実があり、柔道の技術名称が公式に存在していますので、ブラジリアン柔術の技術であっても、柔道にそれと類似している技術があれば、抵抗なくそれらの名称が使われています。

ただし適当な名称が見当たらない場合、または名称自体がキャッチーな響きであった場合は、ポル語や英語をそのまま受け入れていますね。たとえばベリンボロ。ベンリボロをあえて「回転式尻裏頭入れ背後奪取方」と呼んだりする人はいないでしょう。

ようするに、線引きをどこにするか、機軸をどこに持っていくかという話になると思います。そしてその線引きに沿って一貫性を持つことが大事なのではないかと思います。

(ちなみにXガードやトップからのベリンボロも、文部省後援制作・ビデオ『高専柔道』をご覧になった事がある方であれば、その原型はすでに日本にあった事はご存じでしょう)

最後に余談ですが、骨法の堀辺師範が、流派の技術体系を全て日本語で表現しようとしていた試みは圧巻でした。まだ私は格闘技を始める前でしたが、格闘技通信などを読んで師範の試みを読み取り、個人的に興味深く思っていました。言ってみれば私と逆の発想でしょうか。

たとえば腕絡み。私の記憶が正しければ、師範はキムラを「腕ひねり腕絡み」、アメリカーナを「腕返し腕絡み」と呼んでいました。確かに技のイメージが湧くネーミングです。柔道ではここまでの分類はおそらくされていないと思いますので、独自の試みといえるでしょう。

師範は、マウントポジションは馬乗り、バックマウントは亀乗りと最後まで呼んでおられたと思います。ニーオンベリーは確か「横馬」と呼ばれていました。ものすごい徹底ぶりです。

横馬に関しては、もはや馬は関係ないのでは?と思ったり、馬目線なのか何なのか考えてしまいました。ということでありまして、堀辺師範には、まさにベリンボロに「回転式尻裏頭入れ背後奪取方」と名付けるかのごとく一貫性を感じました。