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2014年8月29日金曜日

パイレーツオブカリビアン



こんにちは、早川です。

4大原則のコラムでは、「正しい方向」へ力を伝えることが重要だと書きました。

私が正しい方向の重要性を初めて意識したのは、スイープを掛けた時ではありません。押さえ込みからエスケープした時でした。

小さな力が何倍にも増幅するのを体感出来るのは、スイープのように分かりやすい攻防の時ではありません。もっとタイトな攻防の時です。

例えば、体格差のある相手に完全に押さえ込まれるとします。そして、逃がしながらバックを取る等の遊びが一切ない状態でキープしてきたとします。

ボトム側は、エスケープする為の突破口を作るべく、フレームを首の下に差し込もうとしたり、肩ブリッジで後方へ少し隙間を作ろうとしても、1ミリも隙間を与えてくれない相手だとします。

このような状況に陥った時でも、ほとんどの場合は逃げ道があるものです。文章で表現してみたいと思います。意味不明でしたらスミマセン。

まず小さな「揺れ」を作ります。

方法は色々あるのですが、上半身をタイトに固めてきている相手であれば、プロレスでフォールを返すときのような動作を用います。全身を波打たせる感じでしょうか。

実際に私はプロレス中継を見てこの動きを取り入れました。

その「揺れ」を補正するために、相手はわずかながらであっても必ず体重移動を行います。それをしなければ、押さえ込みが「ずれる」からです。ずれを放置すれば、エスケープされる可能性が高まります。

相手がその「揺れ」に共鳴したときに、私は相手の体重移動の方向に合わせて、相手を押し出します。すると相手の押さえ込みが少し「ずれる」と同時に、最初の「揺れ」よりも若干大きな揺れを作ることが出来ます。

相手を押し出す時は、相手が動こうとしたときに(実際には他者から見てその人が動こうとしているとは全く分からないレベルの動きですが)、動こうとした方向に力を加えるだけです。この時一番大事なのはタイミングになります。

この動作を繰り返すことにより、相手と自分の体の間のスペースを徐々に大きくしていくことが出来ます。あとはその隙間を利用してエスケープするだけです。

フライングパイレーツ(バイキング)系の遊園地アトラクションが、振り子運動を徐々に大きくしていくのを見て、私はこの技術を思いつきました。

さらに言えば、押さえ込まれる際(キワ)の時点で、最初から「ずれて」おきたいところです。ほんの少し体をずらしておくだけで、その後の展開が大きく変わると思います。

相手に対しては、靴に入った小石のような、あるいは喉に刺さった魚の小骨のような違和感を、常に与えておくことです。押さえ込む側は、そのずれのせいで、サブミッションを掛けるには十分な体勢でないと感じ、必ず何らかの補正動作を行います。その間隙をつきましょう。